:簡単タブレットPC(2005/02/17)
企画マン歴30年の僕は、その時代時代に応じて、自分のアイデア出しや企画書作成に役立つ道具を使い分けてきた。今年3月から4月の連載で紹介したマイクロソフトの発想支援ソフト「Visio(ビジオ)」もそうだが、近年はデジタル系の各種ツールが仕事に大活躍している。そうした「企画のための道具」をピックアップし、僕なりの使い方を紹介していこうというのが今回の新連載の主旨だ。まずは、最近の僕のお気に入りである「タブレットPC」から始めよう。
日本ヒューレット・パッカード(HP)の「タブレットPC」を使い始めて2ヶ月あまりになる。それまでは普通のノートパソコンを使っていたが、最近はもっぱらタブレットPCをメーンに使っている。
購入した理由は講演会や授業で使うためだ。プロジェクターで投影した文字や画像をペンタッチの手書き線で囲んだり、矢印を書くのに都合がいいと思ったのだ。
案の定、そのもくろみは的中し、思わぬ副産物も得られた。社会人向けの講演会では、ペン入力の簡単さに魅せられた受講生(特に中高年の企業経営者)が続出しているのだ。講演終了後に教壇までやってきて、僕のタブレットPCの型番をメモして帰る人は1人や2人ではない。
2ヶ月も講演会で使っていると、さすがに普段も持ち歩きたくなる。始めはモニターがむき出しになるのでケースに入れていたのだが、そのうち裸のまま平気で小脇に抱えて持ち歩くようになった。ウィンドウズをスタンバイ状態にしておけば、何か思い付いた途端に即立ち上げてペン入力でアイデアメモなどが書き込める。僕のタブレットPCはキーボードと分離できるタイプなので、キーボード部だけにすると、まるでスケッチブックのように手軽だ。
小脇に抱えてパソコンに入力するというのは、僕にも初めてのスタイルだが、打ち合わせしながらメモをとるには意外と具合がいい。携帯電話やPDAでは入力画面が小さすぎるし、普通のノートパソコンではキー入力が大変だが、タブレットPCはちょうどいいのだ。
ペン入力の線は、太さを変えられるが、僕の場合は極太にして、でっかく描く。しかも赤や黄色など多彩な色で、画面に書き殴っている。ラインマーカーや筆タッチ風に描くときもある。そうすると、頭の中からわき上がってくるアイデアを書き記すことが楽しくて仕方がなくなることもある。
「砂に書いたラブレター」という叙情豊かな言葉がある。タブレットPCにペン入力するというのはそれに近い感じで僕は好きだ。キーボード入力で何か欠けているとすれば、その“叙情”かもしれない。

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