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これぞブロードバンド時代のインターネット最前線?(2003/03/04)
講演会中に間違えてお色気サイトのRealVideoのストリーミングムービーを開いてしまった。いつかはやるだろうと恐れていたことをついにやってしまった。某大手コンピュータメーカーのセミナー講演中でのことだ。2時間ほど話してこちらも乗ってきたところの出来事だった。
パソコン画面は大スクリーンプロジェクターにでかでかと映し出されている。音声はマイクをスピーカーに目いっぱい近づけてあって、マイクに指が触るガサガサする音が耳障りなほど大音量になっていた。僕はいつも持参のパソコンを持ち込み、その中にあるファイルをデスクトップに再生しながらスピーチをするのをモットーとしている。Realvideoを再生してみせる段になって、うろ覚えのファイル名を探し当てたのだが、何百とある最新ファイルを半ば当てずっぽに開く。大道芸人みたいなもので“いちかばちか“の生本番を演じるのも僕の講演スタイルだ。だから時としてアクシデントが起きる。今回はよせばいいのに「あれ?これなんのファイルだっけ?」と例によって気にもせずにENTERをポンと押してしまった。
まずはモニター画面いっぱいに映し出されたのだが、0.5秒もしないうちになにやら怪しげな女の子の部屋がムービー画面いっぱいに現れると同時に、突然!「あ!あああぁ〜ん、あんあああ〜」と講演会場いっぱいにAV嬢白熱の演技が響き渡った。反射的にdeleteを押すが、ストリーミング音声は少しづつデータを呼び込みながら再生するためすぐには止まらない。もだえの声はなおも高らかに、しかもますますアクションは激しさを増しつつエキサイトしてゆく。
講演スピーチだからマイクは僕の口もとにある。にもかかわらず「まずいまずい、まじやばい」と口ずさみながらくぼたつピーンチ!の場面はビジネス講演の様相を根底からエロ映画館に切り替えられた。
会場の受講生40名は、始めなにが起きたかわからない状態だったが、僕が狼狽する姿とマズイと口走ったその危機感になにか異変が起きている状況に気づき、みんな面を上げた。そこには大スクリーンに大胆であらわになったAV嬢がくねくねアハアハを演じている。寝ていた親父は飛び起きる。ひたすらメモっている女性たちは目を大きく見開いてフリーズしている。講演会の担当者は手に持っている資料の束を落とす。やがて15名ほどの男性軍はよだれしながら前のめりに浮き足出つ。スローモーションのように事が過ぎてゆく。僕の右手はひたすらDeleteボタンを押しつづけている・・・。
やがてストリーミングは停止し、会場に虚を突いた異様な空気と静けさが漂うことしばし。
「ちがうんだ、ちがうんだ・・・」とりあえず出た言葉だった。「なんかのまちがいなんでシュウゥ。決してこれは会場へのサービスではなくてですね。あ、女性の方々みなさん、ぼくはこんな男だと思わないでください。これは陰謀だ、新種のウィルスだ・・・」
その後会場は盛り上がり、異様な熱気とともに4時間に及ぶ講演は終了した。やっと冷静さを取り戻した僕の目に映った受講生40名は全員すべて慢心の笑顔であった。
セミナーアンケート結果は講師内容ともオール5であったことは、僕の人生と講師人生に多大な影響を与えることとなったのは言うまでもない。
当日の講演テーマは「2000年ブロードバンド時代のインターネット最前線」だった。

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