# 024:夢のアウトソーシング (2005/02/16)
メールやデータベースなど、ネットワークを使う業務が定着すると、社員全員が会社で仕事をする必要はない。今年初め辺りから、わが社の社員も、海外と地方都市に移り住み、ネットで仕事をするようになった。 “夢のアウトソーシング”態勢が整ったわけだが、最初は難問山積だった。
一番の問題は、組織にとって一番大切な報告・連絡・相談が機能しなくなってしまったことだ。ネットはもともと“個人化”を促進するものだけに、それは当然のこととも言える。しかし、そうなるともはや同じ会社の社員でいる必然性もない。いわゆる超個人化現象だ。その結果、ある社員は正社員から契約社員になった。それも自然の成り行きだろう。
右往左往しながら、なんとかこの1年で円滑にアウトソーシング業務が遂行できるようになった。その結果、わが社のような情報産業にとってアウトソーシングは情報管理コストやスピードの点などでメリットが大きいこともわかった。
僕自身、会社に出社せずとも仕事ができるようになった。そのため、自分自身の仕事に没頭できる時間が増え、有意義な1年となった。妻からは「あなたはセミリタイアライフをしています」と言われるほどに仕事に海遊び(サーフィン)に、と自由な毎日を過ごした1年だった。 早朝だろうが夜中だろうが、自宅のネットで仕事を済ませる日が増えた。さらに、グループウエアの活用によって出社も週1回で済むようになった。社長の身で“週1出社”とはなんとも複雑な気持ちだが、実はそのおかげで仕事の質は前よりもアップしたのである。
社長が会社にいないと、社員たちはいやが上にもしっかりしなくてはならない。おかげで、仕事先からの評判も良くなった。 僕自身も仕事にゆとりができたことで、いつも笑顔で対応できるようになり、仕事関係者からの信頼をより多く得たように思う。 会社に行かないで済む変わりに多くの人と会い、スタッフと一緒に現場に出かけて、その場で問題点を解決できるようになった。会社にいながら非建設的な会議をするより、現場で具体的な改善策を練るほうが、よほど意義がある。
ネットワークによる効率化は、人間的なゆとりと仕事の効率化を生み出したのだ。

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