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# 015:今回は発想について考えてみよう (2003/09/18)

 僕の場合は企画歴 30 年、アイディアが商売なためアイディアだしに関するあらゆることに日ごろから気を配っている。毎日の絵日記はもちろんだが、それよりも脳と気分の調整、体調や健康に気遣うなどさまざまな分野で意識的にケアしている。

 30年間もアイディアだし続ける自分を維持し続けるということは、けっこう大変なことなのだ。ほとんどの企画マンが今では消えていってしまい、現役なのは2、3人しか残っていない。

 一番心がけていることは「変化を続ける」自分でいようとすることだ。

 たとえばわかりやすくいえば洋服だ。僕の場合は紺のスーツと白いワイシャツ、ネクタイといったお約束ビジネスマンスタイルは10年に一度も着ない。あるときはカジュアル、あるときはジーンズ、あるときはビシッと・・・といった具合に TPO に応じて着分けている。これには金もかかるし、時間もかかる。つまりたいへん手間隙かかることなのだ。あえてそれをするのはなぜか? というと己の修行だからだ。毎回毎回、着ていく服を考えるわけで、それはつまりこれから出かけて行く先のシチュエーションを脳裏に描き、そこに合うファッションスタイルを創造することになる。またどんな人と合うかも考えることになり失礼にならない服、場違いにならない服、肩身の狭い思いをしない服・・・と条件を念頭におきながら数分間ズボン、シャツ、上着、靴・・・とトータルコーディネートに身を包んだ自分をイマジネーションしなければならない。また自分を好感のある人に演出、信頼のある人物像に演出、個性のある人に演出・・・といったことまでいちいち、出かける先のストーリーを脳裏で組み立てる。

 こんなめんどくさいことは努力と忍耐がないとできないことなのだ。しかし修行であるからして日夜、半日後の自分をイメージ習慣は絶やさないでいるのではあるが。

 発想とはそもそも、これから何をしようかといった先の空想であり、シナリオ創りである。しかも実際にそこにいき、創造したとおりにその人に合い、話し合い、目的をかなえようとするわけで、自作したシナリオしたとおりに運ぶか否かは毎回、結果が出るのを楽しんでいる側面もある、いうなればそれが面白くて続けられる、とも言えるのだ。

 洋服を選ぶことになると、よくあることは「どっちの服にしようかな?」と迷う場面だ。そこでたいていの方は“いつもの“を選ぶのが通例だ。服を買いにいくと何度でも”いつもの色”“いつものデザイン”を選ぶのもしかりだ。しかしこんなとき発想のプロとしては迷わず新しいほうを選ぶことにしている。何事も経験だ。経験したことがない方を選ぶことで「おおお、こんな感覚があったのか!こういう世界こういった価値観もなかなかいいもんだ」と思わぬ発見があるからだ。

 その新しい体験が視野を広げたり、ともすると凝り固まろうとする自分勝手な価値観に陥るのを避けられることができる。

 インターネットを使う仕事なので当然これはパソコングッズにも置き換えられる。

 デスクトップパソコン→ノートパソコン→ PDA →携帯→インターネットカフェ→タブレット PC ・・・とメーカーの思う壺なターゲットである我輩は仕事のおもちゃグッズを少し使っては次々と変えてゆく。これもその都度、使わなかった脳をむりやり起動させることに役立っている。

 音楽も変える。 CD ショップに行くと視聴できるので、好きなジャズコーナーの行き返りに通るロック、ワールドミュージック、クラシック、ラテン、 60` 、癒し系と違う CD を買い込んでは夜中に聞いてみることしばしばだ。

 10代、20代の若者になぜヒットしているのかも何度か聞いているうちにハッと感じ取る瞬間も幾度となくあった。

 移動も数年前はバイク、それからスポーツカー、 MTB 、ウォーキング、タクシーになり今ではもっぱら都内はスケボーで移動することすらある。

 スケボーライフでわかったことは、自転車と同じで公道やわき道を自由自在に移動でき、電車バスに乗せられ、ロッカーにしまっておける。半月も乗り続けているとスケボーファッションがなぜあのようにダボダボでルーズなのかわかってくる。それは都内のアスファルトジャングルを軽快に動き回れるだけの動きやすさと頭からすっぽりかぶる帽子は転んだときにダメージを受けないようにするセーフティーガードの役目を満たしているのだ。スニーカーも横の力に強く、擦れの耐久性に優れている素材を使っている。そんなこんなで、いわゆる横のり族(横を向いて乗るスポーツ、スノボー、サーフィンなども含む)のファッションがわかってくるわけだ。

 こんなことがあった。半年前、トヨタ自動車の先行研究所という 20 年後の移動手段を企画するエリートプロジェクトに講演しに行った折、スケボーファッションで乗り込んだことがある。

 都内での無敵の乗り物として提案しようと思ったからだ。しかもそのファッション機能もプレゼンしようと企んでいた。もちろんスーツ姿連中にガツンと一発発想転換をと、スケボールックで登場しようと狙ったわけだが、会場を見て驚いた。みんな似たり寄ったりの格好をしていたからだ。 20年先を考えるのにスーツの必然性はないのはもちろんだが、実のところ固定概念からいかに束縛されない自分でいようとする姿勢を重視したからなのだ。

 講演では「燃料電池なんぞはやりつくしているようですからスケボーにリニアモーターつけて走らせましょうよ。一度蹴れば東京から大阪まで行けるようなやつ」と夢を熱く語ったが反応は“それもう考えているんですけど”だった。

 一方通行出口なしの経済社会にあって、『明日の夢に託す』仕事のあり方があらゆるビジネスマンをブレークスルーさせるのではなかろうか。

 それにはまず発想力をもう一度目覚めさせることからの提案でした。

 (2003.6掲載)

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