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# 014:新刊は電子出版オンリー、なるか電子出版フィーバー! (2003/09/18)
この連載が電子出版されることになった。 夕刊フジのこのコーナーで書き溜めてきた約150篇のコラムの中から35篇あまりを選抜した内容がインプレス電子出版から「くぼたつのIT個人武装術」として4月に発刊される。この挿絵がその表紙だ。イラストレータさんはロン毛、顔黒の僕をネットサーファーとサーファーを掛け合わせたらしい。本の題名は担当者たちが3時間もああでもないこうでもないと議論したそうだ。なぜか題名にこだわるんだよね、業界人はいつも…?
電子出版にしようと思った動機は、世の中に自分の書いた原稿を残したいとか少しでも世の中のためになればとかといった高尚な気持ちはなく、ただ電子出版とはいかなるものであろうか? と好奇心を抱いたからに過ぎない。虎穴にいらずんば虎児を得ず。あたって砕けろだ。
「ついでにこれまでに出版した『インターネットで創る企画の技術』と『これでいいのだIT革命』も同時に電子出版しませんか?」と担当者はいとも簡単に言う。乗りやすい小生のこと、せっかく電子出版形式なのだから問題集を作ってそれを解きながら企画やネット活用を学べるように工夫してみた。
なんでも、エイヤァ!で電子出版業界は水面下で動き始めたらしい。我先にと大手出版社も名乗りを上げ始めている。本が売れない市場低迷期にあってやむなく次世代マーケットに夢を託しての出版業界変革でもあるのだろう。その新市場の勝ち組vs負け組の判定基準は品揃えが多いことだからなおさらだ。
小生はこれまで冒険家だ、IT革命だ、ベンチャービジネスだのという無意味な挑戦暦がいまとなっては人生やビジネスでは肥やしになっていることが多い。仕事というのはドキドキ、ワクワクすることが原動力だと思う。人のちょっと先を行ってみること、つまり電子出版に一か八か乗ってみることで今後いろいろな可能性が見えてくるはずだ。小生はそういう生き方をする。
「くぼたつさんの本は定価1200円ですが電子出版では500円になります」これは印刷物の出版の場合は構成編集人件費、印税、広告宣伝費以外に紙代、印刷、製本、運搬、倉庫代、問屋マージン、裁断(売れ残り)が必要経費だ。それに対して電子出版は構成編集、デジタル化、印税、広告宣伝費、サーバ管理料ぐらいで全部まかなえてしまう。
「へぇ〜そんなに安くなるんですかぁ、もちろん僕ぁいいすよ」と二つ返事した。小生の印税は下がらない。本は安いほうがたくさん売れる。したがって印税は増える計算だ。おまけに新聞で書いたものは通常読み捨てで残ることはないがまとめて本にすれば知的財産の二次利用とこれまたうまい話なのだ。事実、再構成するのも“ホ・ホイノ・ホイ“だ(担当スタッフがみーんなやってくれた)からこれまた願ったりかなったりなのだ。天下泰平極楽浄土。これで電子出版ブームでも来ようものならウハウハの人生バラ色という目算だ。こんなうまい話なんだからきっと著者と称する面々が気づかないはずがない。あと半年もすれば猫も杓子も電子出版フィーバーになるかもなのだ。
この電子出版はパソコン以外にもPDAで読める。実際に読んでみるとことのほか読みやすい上にストレスを感じないのに驚く。文字の大きさ、フォント、行間、字間が自由に変更できるし、一度に数冊分のコンテンツをポケットに収めておける。音声、音楽、静止画、動画も同時に読書にあわせて味わえる。インタラクティブに読書や学習が新たなる次元で楽しめる。たぶん通勤電車や出張の友になるんだろうけど移動書斎や移動オフィスの実現化が進むんだと思う。
■ 「くぼたつのIT個人武装術」詳細を見る
(2003.4掲載)

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