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くぼたつ流ビジネスとネットワーク (2004/11/26)
株式会社イッツという企画会社を経営して19年目になる。 かつてはオフィスを代官山のバブリーなマンションに陣取っていたが、バブルがはじけるとオフィスの見栄えが蜃気楼のような無意味な箱物に思えてきたので、それ以来は原宿の倉庫のような一室を仕事部屋にしている。 このボロオフィスを僕はアジトと呼んでいるのだが、8年前引越して来たときはベニア板にマジックで社名を書いて看板としていた。 アジトは半地下にある。「地面に囲まれているから夏はひんやりで冬は暖かだ!」と思ったのだが実際には冬寒く、夏暑く、室内は昼間も薄暗く、近所のボス猫が縄張りを毎日幾度となく巡回する様子が、唯一の窓景色となっている。
正社員は3名。1名は大半コンサル先の企業に出向いているので、常駐しているのは秘書の2名、あとはアルバイトだ。またアウトソーシングといって時に応じてネット上で仕事をしてもらっているスタッフが、少ない時で3〜4名、多い時は10名程度いる。
僕の仕事は年間50本ほどの講演会や原稿書き、それにコンサル先に顔を出すなど飛び回っている仕事なので、めったに会社にはいない。「お久しぶりぃ〜社長です」とたまにアジトに顔を出すと「あらぁ、お久しぶりですぅ」と秘書の青ちゃんが熱いコーヒーをドリップで入れてくれる。「青ちゃん、社長の僕があまり会社に来なくてすまんね」というと「いいえ、社長が機嫌がいいのが一番ですぅ」とわけのわからぬ回答をよこした。
社員やスタッフは全員が四六時中、ネットで連絡、報告、相談のコミニケーションを取っている。全員が同じ時間に同じ場所に出社という従来の会社形式を取らないことは、わずらわしい人間関係を引き起こさないという利点もあるということだ。
光ファイバーをアジトに導入したのは数年前で、原宿近辺では企業としては、IT化は先陣を切っていたと思う。配線工事の専門家がやってきて「これが光回線ですよ」と細い透明な針金程度の線を見せてくれたことがある。「ああ、これからは仕事のやり方が革命的に変わる」とその時は直感したのだが、それも束の間、いまでは携帯、ADSL、光回線・・・とどこでも即座にネット上で仕事を済ませてしまうのが当たり前になってしまった。
昨夜も自宅のADSLに無線LAN接続してあるパソコンで原稿書きをしていると、メッセンジャーというチャットツールに島根県在住のMさんと英国在住のTさんが「こんにちは」とメッセージしてきた。「ああ、ちょうどいい、原稿書いてるんだが○○をどう思う?」とその場でチャットでインタビューしながら、あっという間に原稿を仕上げてしまったところだ。
NTT東日本「Solution TODAY」vol.13掲載 発行:NTT東日本千葉支店

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